生活保護者がキャッシングする前の心構え。バレると大変!
様々な理由によって働くことができない人や雇用保険や年金などの公的制度が利用できずに最低生活費を下回ってしまう時には、生活保護を受けることができます。
生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助けるための制度なのです。
この制度を利用するためには、収入が生活保護基準よりも少なかったり、働くことができなかったりすることが条件に挙げられます。
ここでは、生活保護について理解し、生活保護費でキャッシングはできるのかを見ていきますよ。
意外に知らない!生活保護の制度と利用要件
生活保護とは、憲法で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を送る」ことができないときに利用できる制度になります。
誰でも・いつでも・過去の事や生活に困った理由に関係なく、自由に申し込むことができる制度ではありますが、利用しようと思ったら保護基準があります。
生活保護の保護基準
生活保護の保護基準は、各地域によって違いますが、国が定めた一律の保護基準のもとに算出されます。
年金や給料等の収入がある場合は、保護基準額から収入額を引いた差額の支給となりますよ。
生活保護の利用要件
生活保護の利用要件としては、収入が生活保護基準よりも少なかったり、働くことができなかったりすることが挙げられます。
また生活保護は世帯単位で行うため、世帯全員の収入が生活保護基準よりも少ないことが前提になりますよ。
- 収入が生活保護基準よりも少ない
- 預貯金・不動産の売却等を行っても生活できない
- 働けない・働く場がない
- 年金や手当など、他の制度を使っても生活保護基準に満たない
- 扶養義務者の扶養を受けることができない
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を行う最後の手段となるため、その他の制度や扶養を受けることができる場合は、そちらが優先となります。
扶養義務者とは、家族や親族が該当します。民法では、家族や親族が経済的に助け合うことが定められいますよ。
けれど親族による扶養は生活保護の要件ではないため、親子や兄弟姉妹などの民法上の扶養語義務者がいる場合でも、実際に金銭的援助が難しい場合は生活保護を利用することができます。
生活保護の趣旨に反する!生活保護費でキャッシングの返済
ここまでで生活保護の趣旨は見えてきましたね。健康で文化的な最低限度の生活を行うことが目的となっているため、生活保護費も生活に最低限必要な費用しか支給されません。
扶助の種類 | 支給内容 |
---|---|
生活扶助 | 日常生活に必要な費用(食費・水道光熱費・被服費等) |
住宅扶助 | アパート等の家賃(定められた範囲内で実費支給) |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学用品費 |
医療扶助 | 医療費(本人負担なし) |
介護扶助 | 介護サービス費用(本人負担なし) |
出産扶助 | 出産費用(定められた範囲内で実費支給) |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得等にかかる費用(定められた範囲内で実費支給) |
葬祭扶助 | 葬祭費用(定められた範囲内で実費支給) |
支給される費用は上記となっており、実費支給となっている項目も多く、受け取ることができるお金は日常生活に必要な費用や学用品費となります。
日常生活に必要な費用は、食費等の個人費用と水道・光熱費等の世帯共通費用を合算した金額となるため、計画的にお金を使う必要がありますよ。
もちろん、受け取ったお金をどのように使うかは受給する人が決めることができますが、キャッシングの返済に使うことはできません。
繰り返しになりますが生活保護の目的は、健康で文化的な最低限度の生活を行うために不足している生活費をサポートすることであり、娯楽や貯蓄にお金を使うことはできないのです。
「借金ができる=安定した収入がある」と判断される!
キャッシングの利用条件には「継続して安定した収入があること」が挙げられていますよね。
そのため、キャッシングを利用できるということは、安定した収入があると判断されます。
安定した収入があり、キャッシングの返済に回すお金があったり、貯蓄できたりするお金があるなら、生活保護の目的から外れてしまうため生活保護費の打ち切りとなります。
安定した収入や貯金などを合算して、生活していけるのであれば生活保護は必要ないということですね。
年数回の訪問調査
生活保護費の支給が決まったら、受給中は収入の状況を毎月申告していかなければなりません。そして世帯の実態に応じて、福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行います。
- 収入の状況を毎月申告
- 年数回ケースワーカーが訪問調査
年数回の訪問調査時に、前回は無かったテレビやパソコンがあったり、ブランドの服やバッグなどが置いてあったりすると、他に収入があるはずだと判断されてしまいますね。
生活保護を受給する方の義務として、支出の節約が挙げられています。最低限度の生活を行うために不要なものがあれば、、購入のための費用をどうやって得たのか調査が入りますよ。
バレると大変!不正受給は罰則の対象になる
キャッシング会社と契約できるほど収入があるにもかかわらず、毎月の収入状況で申告していなければ罰則の対象になってしまいます。
不正受給の理由 | 罰則 |
---|---|
うっかり申告忘れ | 生活保護費の返還(未申告収入から経費や控除額を差し引いた額) |
わざと隠していた | 生活保護費の返還(未申告収入に最大1.4倍の金額が上乗せ) |
より悪質に隠す | 警察に詐欺罪で告訴(不正受給額が200万円を超えたケース) |
不正受給の理由によって、返還する金額も変わってきますよ。
生活保護費でキャッシングは難しい
そもそも生活保護費でキャッシングをしてはいけないという決まりはありません。そして、キャッシング会社側も生活保護を受けている人にお金を貸してはいけないという決まりもありません。
けれど、キャッシングして手に入れたお金は収入となります。収入にみなされてしまうと、生活保護費の減額につながります。
キャッシング後には返済していかなければならないのに、生活保護費が減ってしまうと返済していくのは難しくなりますよね。
もともと生活保護費は扶助の内容や使いみちが決められており、必要以上のお金は支給されません。キャッシングの返済に充てるお金も支給されないため、返済は滞ってしまいます。
↓
生活保護費の減額
↓
返済が困難(そもそも返済は扶助の対象外)
↓
キャッシング会社から返済能力がないと見なされる
上記の構図が想像できるため、キャッシング会社は生活保護費以外の収入のない人にお金を借すことはほとんど無いのです。
もちろん働きながら不足分を生活保護でまかなっている方もいますが、この場合も生活保護のおかげで生活が成り立っています。
そのためキャッシングを利用してしまうと、返済に充てるお金がなくなってしまいますね。
キャッシングの利用は生活保護を辞退してから
ここまで見てきて分かるように、キャッシングを利用しようと思ったら、生活保護を辞退してからとなります。
生活保護を受給しているのに、キャッシングで欲しいものを手に入れることはできないのです。欲しいものは、自分の収入だけで最低限度の生活ができるようになってから考えましょう。
欲しいものではなく、必要なものを買うお金がないのであれば、ケースワーカーに相談しましょう。
プロの目で客観的に見てもらうことにより、解決できる方法があるかもしれませんよ。